山猫日記

三浦瑠麗 山猫総研

安倍元総理暗殺をめぐる日本の政治風景

安倍元総理暗殺を経た内外の反応 安倍元総理の暗殺から10日間の時間が経ちました。安倍さんに最後にお会いしたのは暗殺が起きる4週ほど前のシンポジウムの席でした。同時代の日本政治を論説してきた身として、それほど自覚はなくとも精神にダメージを受ける…

衆院選:9党の党首討論書き起こし(ニコニコ生放送主催・10月17日19時半~)

三浦 皆さん、こんばんは。三浦瑠麗です。 馬場 こんばんは。馬場典子です。 三浦 4年ぶりの衆議院選挙が今月末に行われます。政権選択選挙となるこの選挙は、私たちの未来にとって重要であるだけではなくて、やはりより広い国民の参加を必要としています。…

自民党総裁選候補者討論会ーニコニコ生放送全文

9月18日19時~20時に行われた自民党総裁選候補者討論会の様子をお届けします。各候補者のさまざまな政策、価値観の違いが浮き彫りになりました。 三浦 皆さま、こんばんは。三浦瑠麗です。 馬場 馬場典子です。 三浦 本日は、自民党総裁選の候補者の皆さまに…

防衛大学校卒業式 来賓代表祝辞全文

横須賀は、関東の中でも春が早いところです。本日は生憎の雨模様ですが、国家が緊急事態に直面し、それを乗り越えようとする中、今年の春の暖かさは、格別なものに感じられます。 防衛大学校を卒業し、研究科を終了される皆さまの卒業式にこうして列席し、お…

3.11から10年。ゼロエミッションを考える

3.11から10年が経ちました。あのとき私のお腹にいた子どもももうすぐ10歳です。 あれから毎年、朝まで生テレビ!では3月11日を前に、震災とエネルギーについて語り合う企画を続けています。私も、7回ほど参加させていただいています。 ただ、日本では原発問…

有事への対応ができない日本というシステムーー日本における「医療崩壊」の危機とは

本日は、コロナを通じて浮かび上がった日本の課題について考えたいと思います。コロナが感染症としての脅威レベルを超えてここまで大問題となっている背景には、現代社会が抱える脆弱性があります。もちろん、脆弱であった仕組みも一定の時間とコストをかけ…

維新運動は何に敗れたのか?

大阪都構想の実現を目指す2回目の住民投票が終わりました。結果は、5年前とほぼ同じで、僅差の否決。住民を巻き込んだ10年越しのチャレンジは何に敗れたのか。地方自治のあり方や、政界の構図を揺さぶった維新運動はどうなるのか。改めて考えたいと思います。…

20世紀の冷戦と21世紀的な冷戦構造(2)イージス・アショア見直しに際して

前回は、急速に形成されつつある米中の「新冷戦」的な構造が、日本の国内政治に与える影響について考えました。現在の日本政治は、国民の圧倒的多数が中国に対して強い不信感を抱いていることを前提としており、「新冷戦」が国内政治に投影されている部分は…

20世紀の冷戦と21世紀的な冷戦構造(1)

20世紀的の冷戦は、国際社会に対して大きな影響があっただけでなく、日本国内に対しても大きな影響がありました。日本政治における保革の対立構造が固まったのが、いわゆる55年体制が成立した1950年代半ばです。サンフランシスコ講和条約を経てまだ数年の頃…

政治や科学者の分断がもたらす新型コロナウイルス禍の拡大—イタリアはなぜ混乱しているのか

本日は、新型コロナウイルスをめぐる内外の状況についての政治的な分析をアップします。(*以下の記事の前半部分は、2020年3月11日付の三浦瑠麗の公式メールマガジン「自分で考えるための政治の話」より抜粋、編集したものです。) 各国でのポピュリズム衝動の…

新型コロナウイルスのリスクを自分の頭で考える

事実関係の確認 中国の武漢で発症し、世界に感染が広がりつつある新型コロナウイルス。WHO(世界保健機関)は、1月30日に新型コロナウイルスの拡大が国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に当たるとして、緊急事態宣言を出しました。前回緊急事態宣言を見…

日本人の価値観はどこまで離れているのか

明けましておめでとうございます。今年も山猫日記をよろしくお願いします。 さて、昨年の秋から文藝春秋のnoteに連載https://bungeishunju.com/n/nbd85dda46c4eをはじめました。こちらは無料で読める短いものですが、弊社(山猫総合研究所)で行っている意識…

トルコにおける”幸せ”な難民支援のかたち

1年半越しのお約束を果たしにトルコへの弾丸出張に行ってまいりました。イスタンブール経由で乗り継いで、アンカラへ。 イスタンブールを以前に訪れたのは、テロが頻発した2015年より前の2013年春のことでした。それから6年半。思っていたよりもトルコは全然…

環境問題を”sexy”にしようとする場合、何が必要なのか

続・小泉大臣の発言 国連総会での小泉進次郎環境大臣の発言や、環境問題を訴えるグレタさんの演説が話題となりました。本日は、環境問題をめぐる論点の解説とともに2030年以降のエネルギー政策の方向性について考えてみたいと思います。 前回取り上げた福島…

小泉進次郎環境大臣が直面する困難

次代を担う政治家が取り組むべき課題 今般の内閣改造の目玉の一つは、小泉進次郎環境大臣の任命でした。強烈なカリスマ性と強いリーダーシップで、自民党をぶっ壊すと言いながらも長期政権を築いた父の小泉純一郎総理の引退以来、進次郎氏は一貫してメディア…

吉本興業経営アドバイザリー委員会のご報告

本日は、吉本興業の件について、まとまったご報告をしたいと思います。今週月曜に吉本興業の経営アドバイザリー委員会の第二回会合に出席してきました。座長から記者ブリーフィングがあった通り、反社チェックの話と契約のあり方に議論が集中しました。今回…

「やせがまん」できなくなった社会―あいちトリエンナーレ問題を考える

あいちトリエンナーレ問題 過去1週間ほど、愛知トリエンナーレをめぐる問題がマスコミやSNSを賑わせています。多くの識者が発言をしているところですが、極々簡単に出来事の時系列を振り返っておきましょう。 話題になったのは、「表現の不自由」と名付け…

香港の運命

本日は、香港におけるデモの問題を取り上げたいと思います。香港問題は、中国の問題を考える上で避けて通れない文脈を提供してきました。自由経済都市における自由という文脈を超えた、世界史的な意味合いについて考えたいと思います。 大型デモの背景と顛末…

参議院選挙を前に―なぜ自民一強なのか

本日は参議院選挙を前に少し分析をしたいと思います。読売新聞の7月15日付朝刊では「与党改選過半数の勢い」と見出しを打ち、自公で67議席から76議席を取る可能性があるとしました。日経新聞は「改憲勢力3分の2に迫る」とする一方、時事通信社は「改憲勢力、…

死ぬなら一人で…論争に思うことーー川崎登戸殺傷事件&農水省元次官息子殺傷事件

2件の深刻な殺人事件が起きました。細かく説明する必要はないでしょう。カリタス小学校の児童と保護者を襲い、犯人が直後に自殺した事件と、それに触発されたとおぼしき、家庭内暴力を振るっていた息子が世間に迷惑をかけないように殺害したと供述している農…

なぜ維新は逆風の中で勝ったのかーー大阪ダブル選

本日20時の投票締め切りと同時に、大阪府知事選と大阪市長選でそれぞれ吉村洋文氏、松井一郎氏の当確が出ました。私は、事前にインターネットパネルではありますが独自調査を行っていましたので、当初から維新候補の圧勝を予想していました。しかし、選挙戦…

3月11日から八年、エネルギー政策を考える。

3.11から八年。その節目にはさまざな記事が出されました。その日、だけでなく書いていくことに意味があるのかなと思い、本日は東日本大震災から8年の節目に考えたことについて書いてみたいと思います。 「あのとき何をしていたか」を共有するのが国民 グロー…

日本における「女性問題」炎上を読み解く三つのポイント

遅ればせながら、新年初のブログです。今年もよろしくお願いします。 新年早々、ツイッター界では女性問題での炎上が続きました。西武SOGOデパートのCMおよびCF。安藤サクラさんを起用した広告が、女性活躍を否定しているのではないか、女性が差別され続けて…

カバノー新最高裁判事をめぐるスキャンダルから学べること

引退を表明したアンソニー・ケネディ氏の後任の米国連邦最高裁判事としてブレット・カバノー氏(53歳)が承認されました。ケネディ氏は保守派ではありましたが、どちらかというと穏健派。保守とリベラルで意見が割れる際にはリベラル側につくこともあり、多…

朝鮮半島の変化は不可逆的

南北首脳会談 今回の南北首脳会談では、文在寅大統領の必死の説得にもかかわらず、非核化検証のための北朝鮮国内の核施設や核兵器のリスト開示が実現しませんでした。しかし、成果は二つあります。まず、より小さな成果としての非核化問題における進展は、ミ…

LGBT差別や偏見の「理由は何でもよかった」のではないか

『新潮45』に寄稿した杉田水脈衆議院議員のLGBTをめぐる意見が話題になっています。これまで、お上目線や自己責任論で福祉行政を語る保守派の政治家はたくさんいましたが、お上にはそれなりの威厳や打ち出しの高さも必要ですから、それとは毛色がだいぶ違う…

トランプ大統領が打ち出した「お互い様」のロジックー米露首脳会談批判の検討

米国のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領が、フィンランドのヘルシンキの大統領公邸で会談を行いました。日本のメディアでは、会談に遅刻した上に終始硬い表情だったプーチン大統領とのあいだで、トランプ大統領が関係改善に向け働きかけを行ったとい…

米国の勘違い―都合の良い同盟と覇権秩序

同盟ただ乗り論のいま トランプ政権による北朝鮮の金正恩委員長との交渉が連日ニュースをにぎわす中で、ここしばらくの報道で浮かび上がってきたトランプ政権の東アジア観と、米韓同盟、日米同盟のリアルを考えてみたいと思います。 米国では、つい先日トラ…

エマニュエル・トッドさんに聞いたこと

昨日、BSフジのプライムニュースにでました。 エマニュエル・トッドさんのお話を聞くという企画でしたが、やはりトッドさんの本を読み込んでいる人に来て欲しいということで、伺いました。放送後にお話をさらに伺ったかんじでは、日本によくある、とにかく何…

セクハラはどうしたらなくなるのか―福田財務次官のセクハラ報道と世論からの学び

福田淳一財務次官がセクシャルハラスメントをめぐる問題の混乱を受けて辞任しました。これまでも、どこかの組織でスキャンダルが持ち上がるたびに、それなりに注目されてきたセクハラ問題ですが、今回はエリート官庁のトップがテレビ朝日の社員に対して行っ…