山猫日記

国際政治学者、三浦瑠麗のブログです

安保法制(6)―安保法制の政治的意味合い

政権基盤への影響 安保法制をめぐる議論の政治性が高まっています。安倍政権の支持率が低下する中で、安保法制をきっかけとする政局論を展開する識者も出てきました。総裁選を控える自民党内での発言や、総理の祖父である岸信介元総理が安保改定と刺し違えて…

安保法制(5)―パーセプション・ゲームの功罪

象徴性をめぐるパーセプション・ゲーム 維新が国会に安保法制の対案を提出しました。政府提出の安保法制が、重要法案の審議時間の目安とされる80時間を越え、与党からは採決に向け機が熟してきているという発言が出始めていた中でのことです。本日は、維新の…

安保法制(4)―不思議の国の潮目を読む

不思議の国 潮目が変わった、という意見が増えているようです。憲法審査会の場で与党推薦の参考人を含む三人の憲法学者が安保法制について違憲との見解を示したことがきっかけです。左派勢力からは違憲論が、与党内からは不手際論が、メディアから思惑含みの…

安保法制について(3)―国会で議論されるべきこと

建前と誤魔化しを廃した安保論議 安保法制の国会論議が始まります。先般の党首討論を見る限り、日本が直面する安全保障環境をどのように捉え、それにどのように対処していくべきかという根本において与野党間の認識が食い違っているようです。戦後日本の大き…

大阪都構想アフターノート:住民投票の否決を振り返る

僅差で否決された理由は 大阪都構想の住民投票が僅差で否決されました。賛成と反対の票差は、投票総数の1%以内という大接戦でした。敗北を受け、橋下大阪市長は年末の任期満了をもって政界を引退する旨表明し、合わせて維新の党の江田代表も辞任を表明しまし…

5.17大阪都構想の住民投票について

大阪都構想の住民投票が直前に迫っています。もとより、多様な論点を含むテーマですが、本日はこの点について考えてみたいと思います。本件については、様々な識者がそれぞれの立場と思惑から発言をしています。私は、「政策論としての都構想」と「政治論と…

安保法制について(2)―国際平和共同対処事態

前回は、安保法制の諸論点のうち、日本の防衛に直接かかわる点について取り上げました。日本の防衛を確実なものとし、抑止力を維持するための現実的な選択肢としては、日米同盟の信頼性を高める以外にはありません。そのためには、技術的にも、政治的にも集…

安保法制について(1)

歴史的な政策変更 安倍総理は米国上下両院での演説で、夏までに安保法制を整備するとしました。安保法制は事実上の国際公約となったわけですから、ゴールデンウィーク明けの国会は荒れ模様となるでしょう。本日は、そんな安全保障法制について取り上げたいと…

総理の米国上下両院での演説について

安倍総理が日本人の総理大臣として始めて米国上下両院で演説を行いました。本日は、歴史的な演説に対する評価を試みたいと思います。はじめに、前提として申し上げたいことは、この種の演説は国際政治や外交を考える上ではとても重要だということです。 国際…

自民党の憲法改正草案について

本日は憲法改正について取り上げたいと思います。言うまでもなく、憲法をめぐる問題は、戦後日本の政治対立を象徴する論点です。改憲、護憲、加憲、創憲などの政治的立場に色分けされた戦後日本ほど、憲法が政治対立の中心にあって国民を分断し続けてきた国…

日米同盟と抑止力―辺野古問題によせて

沖縄における基地問題が袋小路に入り込んでしまっています。世界一危険とされ、20年来の課題である普天間飛行場移設の選択肢は辺野古以外にはないとする政府と、あたらしい基地を沖縄に作らせないという公約で当選した知事が真っ向から対立しているのです。…

政治家と官僚と軍人(2)

文官統制について、前回は政軍関係の側面、政官関係の側面、そして背広組と制服組との組織内権力関係の側面からそれぞれ取り上げました。今回、検討されている組織変更については、政軍関係や組織内権力関係の観点からは求められる改革の方向性であろうと思…

政治家と官僚と軍人

安全保障法制の議論が活発化してきています。昨年夏の閣議決定を踏まえ、安全保障に関する法的枠組みを整備する中で多様な論点が浮上し、国会や与党協議が続いています。中東やウクライナ情勢の混乱に加え、東アジアの安全保障環境の不透明感が高まる中で、…

戦後70年の総理談話と歴史認識―文藝春秋SPECIAL2015年春号に寄稿しました

戦後70年の総理談話について、それから歴史認識について思うところを2月26日発売の『文藝春秋SPECIAL』に寄稿しました。総力戦に敗けたことの意味について、攻撃的戦争の概念を採用すべきことについてなど、いくつかの重要な点を盛り込んであります。すでに…

攻める農政の先にあるビジョン

前回は、現在進められようとしている農協改革の意義について申し上げました。今般の改革は、それ自体のインパクトを評価しても本質を捉えられるものではなく、農協改革を通じてより大きな農政の変化を可能とするところに意味があったと。当然沸いてくる疑問…

新刊です

文藝春秋から、新刊が出ました。2月20日発売の文春新書です。タイトルは『日本に絶望している人のための政治入門』、出版社の方に決めていただきました。編集者の方の頭に、福田恒存の、まずは絶望から始めなければならないという件が頭にあったのではないか…

農協改革の次に来るもの

どうやら農協改革が前進するようです。直前まで絶対反対の構えを見せていた農協の中央組織である全中の心変わりには唐突なものがありましたので、裏では強烈な駆け引きがあったのでしょう。先般の佐賀県知事選で、官邸が推した候補が敗れたのは中央への反発…

CSIS Pacific Forumに寄稿しました。

ISIL(「イスラーム国」)によるテロと日本政治、日本外交について、米シンクタンクCSISのPacific Forumに寄稿しました。PacNet #10 - Terrorism, old grudges, and Japan’s renewed position in the world | Center for Strategic and International Studies

テロリズムと時代認識

日本人2名が殺され、同じくISIL(「イスラーム国」)に拘束されていたヨルダン人のパイロットも、残忍な方法で殺されました。整理できぬ感情、整理できぬ情報の中で、それでも、我々は進んでいかなければならないのだろうと思います。それが、日常を破壊する…

追悼

湯川さんと後藤さんの二人の日本人人質が殺されました。不吉な予感がなかったかと言えば嘘になります。ころころ変わる犯罪者の要求を追いかけ、世界中で起きている悲劇と改めて向き合い、人質となった二人の足跡を知る中で、我々は狂騒させられました。あた…

資本主義からの逃走(2)

前回は、巷をにぎわす資本主義批判に共通する問題点について指摘しました。本日は、資本主義批判の背景に存在する政治性に焦点を当てたいと思います。 まず、歴史的な構造からいくと、資本主義がどのように成立するに至ったかということがあります。経済史の…

資本主義からの逃走(1)

ギリシャの選挙で急進的左派連合が勝利し、公約どおりの反緊縮策を進める構えを見せています。南欧の小国の政治変動は、本来的にはそれほど大きなニュースではないのですが、欧州の経済危機の震源地でのことでもあり、金融危機以後の世界を苦しめた財政危機…

テロと自由と日本社会(2)―捕虜交換にひそむ倫理的葛藤

日本人が人質となったテロ事件に新たな展開が生じました。正確な事実関係は深い霧の中にあって、事態の進展には絶えず疑いが生じます。それを前提としてですが、人質の一人の湯川さんは殺害され、テロリスト側の要求はヨルダンでテロ事件を起こした死刑囚と…

戦後70周年の日本外交と対外メッセージについてー北海道新聞に寄稿しました

一昨日(2015年1月23日)の北海道新聞朝刊の「各自核論」寄稿を以下に転載します。 戦争と戦後について考える年がまた巡ってきた。戦後40年には、中曽根総理が靖国神社に参拝し、中国との対立が注目された。戦後50年には、政府の歴史認識の機軸となっている村…

テロと自由と日本社会

日本人2名がイスラーム国の人質となるテロが発生しました。テロリスト達は、安倍政権の中東政策を反イスラーム国的であると断じた上で、2億ドル(=約238億円)の資金を支払わなければ、人質を殺害すると予告しています。今般のテロ行為は、総理の中東歴訪の…

民主党代表選に寄せて―何が選択されようとしているのか

民主党代表選が佳境を迎えています。本来であれば、野党第一党の党首として次に総理となるかもしれないリーダーを決めるという緊張感に包まれていなければいけません。民主党の現有議席数の現実を考えると、実際には、そのようなことを言っても始まらないの…

根本的な改革と目の前の改革 : 佐賀県知事選を題材に

昨年末、まち・ひと・しごと創生に関する「長期ビジョン」と「総合戦略」が閣議決定されました。第二次/第三次安倍政権の看板政策がいよいよ動き出します。地方創生についての詳しい論評は後日行うとして、まずは、評価できる点、懸念すべきと思っている点を…

国内冷戦を乗り越える年に

2015年はいろいろな意味で節目の年です。戦後70年であり、自民党結党60年であり、村山内閣から20年です。時代を画す節目というのは、人を物思いにふけらせる効果があり、過去を見つめなおす契機となります。ところが、政治の世界において、過去を見つめなお…

新年に思うー2015

あけましておめでとうございます。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。 昨年の年頭にはじめた山猫日記も何とか一年続けることができ、振り返ってみれば約50本の記事をお届けすることができました。昨年の新年の抱負であった、週一本のノルマを何とか守…

年末回顧ーー産経デジタルに寄稿しました

皆さま、一年間山猫日記にお付き合い頂きありがとうございました。 2014年の重大出来事を回顧した記事を仕事納めに納品しました。産経デジタルに掲載されています。ご笑覧いただければ幸いです。ではどうぞ良いお年をお迎えくださいませ。「冷戦後」の終わり…

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